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BCM(事業継続管理)とは?意味やBCPとの違い、基本的な取り組みを解説

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地震や台風といった自然災害に加え、感染症の流行やサプライチェーンの混乱など、企業を取り巻くリスクは多様化しています。

こうした事態に直面したとき、事業の停止を最小限に抑え早期に復旧するための備えとして重要な概念がBCMです。

言葉自体は耳にしたことがあっても、具体的な内容やBCPとの違いを正確に把握できているケースは多くないかもしれません。

この記事では、BCMの基本的な定義から製造業における重要性、具体的な運用サイクルまでを解説します。

BCMの基礎知識

BCMは単なる「非常時のマニュアル作成」を指すものではありません。

企業が守るべき重要な業務を特定し、組織全体で継続的な改善を図っていく一連のマネジメント活動を指します。

BCMの定義

BCMとは「Business Continuity Management」の略称で、日本語では「事業継続管理」と訳されます。

企業が緊急事態に陥った際、事業資産への損害を最小限に抑えながら中核事業を継続・早期復旧させるための経営管理手法です。

重要なのは、単に計画を立てるだけでなく、実行するための体制づくりや教育・訓練、定期的な見直しまでを含めた「管理プロセス全体」を指している点です。

BCMは、ISO 22301という国際規格として標準化されており、認証取得を通じてその取り組みを対外的に示すことも可能です。組織の回復力を高めるための総合的な取り組みと理解するとわかりやすいでしょう。

製造業における重要性

特に製造業において、BCMの構築は重要な経営課題です。

生産拠点や設備が被害を受ければ、製品の供給が止まるだけでなく、多くの取引先やエンドユーザーにまで影響が及びます。一つの部品の供給停止がサプライチェーン全体に波及するリスクは、過去の災害で繰り返し経験してきました。

東日本大震災では、一部の自動車部品メーカーの操業停止が国内外の完成車メーカーの生産ライン停止にまで連鎖し、BCM整備の重要性が広く認識されるきっかけとなりました。

供給責任を果たすことは契約上の義務にとどまらず、企業としての社会的責任にも直結します。

また近年は、大企業が取引先であるサプライヤーに対してBCP策定状況の確認や開示を求めるケースが増えており、BCMへの取り組みが取引継続の条件となる場面も出てきています。

BCPとの違い

BCMを理解するうえで、BCP(事業継続計画)との関係性を整理しておくことは非常に重要です。両者はセットで扱われることが多いですが、その役割と位置づけには明確な差異があります。

定義上の違い

BCPは「Business Continuity Plan」の略で、緊急時に「何を、誰が、どう行うか」を定めた計画書・文書そのものを指します。

具体的には対応手順だけでなく、緊急時の意思決定権限の委譲や指揮命令系統、代替手段の選択基準なども含む文書です。

一方のBCMは、BCPを策定するプロセスから、平時の教育・訓練、評価、改善までの「サイクル全体」を管理する枠組みを指します。

運用の重要性

どれほど詳細なBCPを作成しても、棚に置いたままでは緊急時に機能しません。

災害時には現場に大きな混乱が生じるため、計画の実効性を常に検証しておく必要があります。組織体制の変更や新設備の導入があれば、過去に作った計画はすぐに実態と乖離してしまいます。

BCMの枠組みを通じて計画を最新の状態に保ち、社員一人ひとりが自分の役割を把握している状態を維持することが、実効性のある危機管理につながります。

運用を機能させるためには、BCM全体を統括する推進責任者(BCMオーナー)を明確に設置し、定期レビューを少なくとも年1回以上実施する体制を整えることが基本です。ISO 22301でも定期的な内部監査とマネジメントレビューの実施が要求されており、これを一つの目安とするとよいでしょう。

BCMの基本的な取り組み

BCMは一度取り組んで終わりという性質のものではなく、PDCAサイクルを回しながら磨き上げていくものです。

具体的にどのようなステップで進めていくべきか、その基本的な流れを確認していきましょう。

方針策定と影響分析

最初に行うべきは、経営層による基本方針の策定と、BCM全体を統括する推進責任者(BCMオーナー)の任命です。

自社にとって何を最優先で守るべきかを明確にしたうえで、ビジネス影響度分析(BIA)を実施します。

BIAとは、各事業が停止した場合の影響を時間軸で評価し、優先的に復旧させるべき重要業務を特定する作業です。

分析では、まず事業が停止したままでいられる限界時間である最大許容停止時間(MTD)を業務ごとに定義します。そのうえで、MTDの範囲内で達成すべき目標として目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)を設定し、どの程度の中断が許容されるかを具体的に定義していきます。

計画の策定と実施

影響度分析の結果をもとに、具体的なBCPを策定します。

建物・設備の損害、通信手段の途絶、人員不足といったリソースの欠乏を想定し、代替手段と対応手順を具体的に定めていきます。

製造業であれば、代替生産拠点の確保や重要部品の在庫積み増し、図面データのバックアップ体制などが対策の例として挙げられます。

自社の計画と合わせて、主要な一次・二次サプライヤーのBCP整備状況を確認し、サプライチェーン全体として途絶しない体制を構築しておくことも重要です。

初動対応については、緊急時の参集基準や連絡網の整備に加え、安否確認システムの導入やリモートワーク・分散勤務への切り替え手順など、実態に即したルールを定めておくことが大切です。

教育と訓練の実施

計画が完成したら、組織内に浸透させるための教育と訓練を行います。

全従業員にBCMの重要性を周知するとともに、各担当者が自分の役割を実際の動きとして身につけることが重要です。

訓練は段階的に設計するのが効果的です。まず計画書の内容を関係者で読み合わせるウォークスルー訓練から始め、次に機能訓練、最終的には実際の設備や安否確認システムを稼働させるフルスケール訓練へと段階的に難易度を上げていくのが効果的です。

ISO 22301では定期的な訓練実施が求められており、少なくとも年1回以上の実施を目安とするとよいでしょう。訓練で浮かび上がった課題は、計画の不備を見直すための材料になります。

見直しと改善

BCM全体の見直しは、定期的なタイミングと、特定のイベントを契機としたタイミングの両方で行うことが重要です。

定期見直しは年1回以上を基本とし、加えて組織変更・新拠点開設・主要調達先の変更・実際のインシデント発生後などのタイミングでも随時実施します。

計画通りにいかなかった部分を分析し、より現実的な対策へと改善していくプロセスです。評価の客観性を高めるために、内部監査や外部機関によるISO 22301認証審査を活用することも有効です。

経営層はその結果を評価し、必要に応じてリソースの追加投入や方針の修正を判断します。このサイクルを繰り返すことで、BCMは形式的な取り組みから企業文化として定着していきます。

導入するメリット

BCMへの取り組みには多大な労力が必要ですが、それに見合う、あるいはそれ以上のメリットが企業にもたらされます。

損失の最小化

緊急事態における被害を最小限に抑えられることが、最も直接的なメリットです。

迅速な初動対応と計画に沿った復旧活動によって操業停止期間を短縮できれば、売上の減少や顧客の流出を抑えられます。

また、リスクを事前に洗い出す過程で、日常業務に潜む非効率や脆弱性が見えてくることもあります。BCM構築のプロセス自体が業務改善やプロセス整理につながり、経営体質の強化という副次的な効果も期待できます。

社会的信頼の獲得

BCMへの取り組みは、顧客や取引先、投資家や金融機関に対しても安心感を与えます。

特にサプライチェーンの一翼を担う企業にとって、「不測の事態でも供給を止めない体制がある」という事実は大きな競争優位性になります。

一方で、備えが不十分な企業はリスク管理を重視する大企業から取引を敬遠されるケースもあります。目に見えにくい信頼という資産を守るうえでも、BCMへの継続的な取り組みは重要です。

まとめ

BCMは、企業の継続的な発展を支える経営基盤のひとつです。

計画書を作成するだけでなく、組織全体でリスクに向き合い、教育や訓練を通じて対応力を高めていくプロセス自体に意味があります。

不確実な時代に求められるのは、何も起きないことへの期待ではなく、何かが起きたときにどう動くかを準備しておくことです。

まずは自社の重要業務を整理し、守るべき優先順位をつけるところから始めてみてください。具体的な着手にあたっては、中小企業庁が公開している「中小企業BCP策定運用指針」や、ISO 22301の要求事項を平易に解説した各種ガイドブックが参考になります。

BCMは一度整備して終わりではなく、訓練・見直し・改善のサイクルを回し続けることで初めて実効性を持ちます。その積み重ねが、緊急時に会社・社員・取引先を守る体制につながっていきます。

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