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共晶はんだとは?仕組み・利点と鉛フリー化が進む背景を解説

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はんだについて調べていると、共晶(きょうしょう)はんだという言葉を目にすることがあります。長くはんだ付けの標準として使われてきた材料ですが、その名前が何を意味するのか、改めて問われると説明が難しいかもしれません。電子機器の製造に関わる方や、はんだの基礎を学びたい方にとって、共晶はんだは知っておきたい知識のひとつです。

本記事では、共晶はんだとはどのようなはんだなのか、その仕組みや利点をわかりやすく解説します。あわせて、近年進んでいる鉛フリー化の背景や、共晶はんだの現在の位置づけにも触れていきます。はんだへの理解を深める手がかりとしていただければと思います。

共晶はんだの基本

まずは、共晶はんだがどのようなはんだを指すのか、その基本から確認していきましょう。共晶という言葉の意味を知ることで、このはんだの特徴がつかみやすくなります。

共晶はんだの意味

共晶はんだとは、すずと鉛が特定の比率で混ざり合ったはんだのことです。一般には、すずが約6割、鉛が約4割という割合のものを指します。この比率には特別な意味があり、それが共晶はんだという呼び名の由来になっています。

金属を混ぜ合わせた材料は、混ぜる割合によって性質が変わります。すずと鉛の組み合わせの中でも、ある特定の比率のときだけ現れる特別な状態があり、それを共晶と呼びます。共晶はんだは、まさにこの状態になる比率で配合されたはんだなのです。

共晶という現象の仕組み

共晶はんだの特徴を理解するには、金属が溶けたり固まったりするときの温度に注目する必要があります。一般的に、複数の金属を混ぜた材料は、溶け始める温度と完全に溶けきる温度の間に幅があります。つまり、固体と液体が混ざり合った中途半端な状態が、ある温度の範囲で続きます。

ところが、共晶と呼ばれる比率のときだけ、この温度の幅がなくなります。共晶はんだは、ひとつの決まった温度で一気に溶け、冷えるときも同じ温度で一気に固まります。中途半端な状態を経ずに、固体と液体がはっきりと切り替わるのです。

これは、純粋な金属が溶けたり固まったりするときの性質に似ています。本来、複数の金属を混ぜると温度に幅が生まれるはずですが、共晶の比率ではそれが起こりません。一見すると不思議なこの性質こそが、共晶はんだを特別な材料にしている理由といえます。

共晶はんだの利点

共晶はんだが長く使われてきたのには理由があります。決まった温度で溶け固まるという性質が、はんだ付けにいくつもの利点をもたらしてきました。

はんだ付け作業における扱いやすさ

共晶はんだの大きな利点は、作業のしやすさにあります。決まった温度で溶けるため、加熱の管理がしやすく、はんだ付けの結果が安定しやすいのが特徴です。溶けるときも固まるときも動きがはっきりしているため、作業者にとって状態を把握しやすいという面もあります。

また、共晶はんだは溶けたときの流れがよく、接合したい部分にはんだがなじみやすい性質を持っています。比較的低い温度で溶けることも、扱いやすさにつながっています。こうした性質が重なり、共晶はんだは安定した作業を支える材料として重宝されてきました。

接合部の信頼性

共晶はんだは、仕上がった接合部の信頼性にもすぐれています。冷えるときに中途半端な状態を経ずに固まるため、接合部の状態が安定しやすいのです。固まる途中で生じやすい不具合が起こりにくく、強度や見た目が整いやすいという利点があります。

固体と液体が混ざった状態が長く続くと、その間に部品が動いてしまい、接合部にひびや乱れが生じることがあります。共晶はんだは一気に固まるため、こうしたリスクを抑えられます。安定した接合が得られることは、製品の品質を支えるうえで重要な意味を持っています。

鉛フリー化が進む背景

多くの利点を持つ共晶はんだですが、近年はその使用が見直されています。背景にあるのが、鉛フリー化と呼ばれる動きです。なぜ鉛を使わない方向へ進んでいるのかを見ていきましょう。

鉛がもたらす環境や健康への懸念

共晶はんだに含まれる鉛は、人体や環境への影響が懸念される物質です。鉛が体内に取り込まれると健康に害を及ぼすおそれがあり、扱いには注意が必要とされています。こうした性質が、鉛を見直す動きの出発点になりました。

特に問題とされたのが、使い終わった電子機器の処理です。鉛入りのはんだが使われた製品が廃棄され、適切に処理されないまま放置されると、鉛が周囲の環境に溶け出すおそれがあります。製品をつくる段階だけでなく、捨てられた後のことまで含めて、鉛の影響が意識されるようになりました。

規制の動きと業界への影響

こうした懸念を受けて、世界の各地で電子機器に含まれる有害物質を規制する動きが広がりました。一定の条件のもとで、製品に鉛を使うことを制限する枠組みが整えられ、電子機器の業界に大きな影響を与えました。

規制への対応として、メーカー各社は鉛を含まないはんだ、つまり鉛フリーはんだへの切り替えを進めました。長く標準だった共晶はんだから鉛フリーはんだへの移行は、業界全体を巻き込む大きな変化となりました。現在では、多くの電子機器で鉛フリーはんだが標準的に使われています。

現在の共晶はんだの位置づけ

鉛フリー化が広く進んだ今、共晶はんだはどのような立ち位置にあるのでしょうか。最後に、その現状を整理しておきましょう。

鉛フリーはんだへの移行状況

一般に流通する電子機器の多くでは、すでに鉛フリーはんだへの移行が完了しています。私たちが日常的に手にする製品の多くは、鉛を含まないはんだで組み立てられていると考えてよいでしょう。共晶はんだが標準だった時代から、状況は大きく変わりました。

鉛フリーはんだは、共晶はんだに比べて溶ける温度が高いといった違いがあります。そのため、移行にあたっては作業の条件を見直す必要がありました。こうした課題を乗り越えながら、業界は鉛フリー化を進めてきました。

共晶はんだが使われ続ける場面

移行が広く進んだ一方で、共晶はんだが完全になくなったわけではありません。規制には例外として認められる分野があり、特定の条件下では共晶はんだが使われ続けています。具体的には、次のような場面が挙げられます。

  • 高い信頼性が長期にわたって求められる特殊な分野
  • 過去に製造された機器の補修や保守を行う場面

こうした分野では、共晶はんだが持つ安定した性質や扱いやすさが引き続き評価されています。決まった温度で溶け固まり、信頼性の高い接合が得られるという特長は、確実さが求められる場面で今も活かされています。共晶はんだは、その特性が適した場面で、現在もはんだの選択肢のひとつとなっています。

まとめ

共晶はんだとは、すずと鉛が特定の比率で混ざり合ったはんだです。決まったひとつの温度で溶け固まるという性質を持ち、作業のしやすさと接合部の信頼性にすぐれています。この扱いやすさから、長くはんだ付けの標準として使われてきました。

しかし、含まれる鉛が環境や健康への懸念を持つことから、世界的な規制を背景に鉛フリー化が進みました。現在では多くの電子機器が鉛フリーはんだへ移行しており、共晶はんだは特殊な分野や補修の場面など、限られた範囲で使われています。共晶はんだの仕組みと変遷を知ることは、はんだ全体への理解を深める手がかりになるはずです。

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