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はんだの種類はどう選ぶ?基板実装で押さえておきたい特徴と選び方を解説

基板実装に欠かせない材料のひとつが、はんだです。ひとくちにはんだといっても、含まれる成分や形の違いによっていくつもの種類があり、それぞれに適した使い方があります。電子機器の製造に関わる方や、基板づくりの基礎を学びたい方にとって、はんだの種類を知っておくことは品質を理解するうえで大切な土台になります。
本記事では、はんだが基板実装で果たす役割をふまえながら、成分と形状による種類の違い、そして用途に応じた選び方のポイントをわかりやすく解説します。はんだ選びの考え方を整理する手がかりとして読んでいただければと思います。
はんだの基本的な役割
種類の話に入る前に、まずははんだが基板の上でどのような働きをしているのかを確認しておきましょう。役割を理解しておくと、なぜ種類による違いが重要なのかが見えてきます。
はんだが担う接合の仕組み
はんだは、電子部品と基板を結びつける金属の材料です。比較的低い温度で溶ける性質を持ち、加熱して溶かしたはんだが冷えて固まることで、部品と基板をつなぎとめます。このとき、はんだは単に物理的に固定しているだけではありません。
はんだによる接合には、二つの意味があります。ひとつは、部品が基板から外れないようにする機械的な固定です。もうひとつは、部品と基板の間に電気を流すための電気的な接続です。はんだは、この二つの役割を同時に担うことで、回路を正しく機能させています。
はんだ選びが品質に与える影響
はんだの種類は、製品の品質に直接かかわってきます。たとえば、溶ける温度が部品の特性に合っていなければ、うまく接合できなかったり、熱によって部品を傷めたりするおそれがあります。接合部の強さや、長期間使ったときの安定性も、選んだはんだによって変わってきます。
つまり、はんだ選びは品質を左右する設計上の判断のひとつといえます。どのような製品に、どのような実装方法で使うのかを考えたうえで、適切なはんだを選ぶことが求められます。そのためには、まずどのような種類があるのかを知っておく必要があります。
成分によるはんだの種類
はんだの種類を分ける軸のひとつが、含まれる金属の成分です。ここでは、成分の違いによる代表的な二つの種類を見ていきます。
鉛入りはんだの特徴
鉛入りはんだは、すずと鉛を主成分とするはんだです。古くから広く使われてきた種類で、扱いやすさにすぐれているのが特徴です。比較的低い温度で溶け、溶けたときの流れもよいため、接合作業が安定しやすいという利点があります。
こうした扱いやすさから、鉛入りはんだは長年にわたって基板実装の標準的な材料でした。一方で、鉛は人体や環境への影響が懸念される物質です。そのため、後述する規制の動きを受けて、現在では使用が限られた範囲にとどまる傾向にあります。なお、すずと鉛が特定の比率で混ざったものは共晶はんだと呼ばれ、決まった温度で溶け固まる性質を持っています。
鉛フリーはんだの特徴
鉛フリーはんだは、その名のとおり鉛を含まないはんだです。すずを主成分とし、銀や銅などを加えて性能を調整したものが代表的です。環境や健康への配慮から開発され、現在の基板実装では主流となっています。
鉛フリーはんだは、鉛入りはんだに比べて溶ける温度が高めです。そのため、はんだ付けの際にはより高い熱を加える必要があり、温度の管理が重要になります。部品や基板への熱の影響にも注意が求められますが、環境負荷の小ささから、多くの製品で標準的に採用されています。
形状によるはんだの種類
はんだは、成分だけでなく形によっても種類が分かれます。形状の違いは、どのようなはんだ付けの方法に向いているかと深く関係しています。代表的な三つの形状を見ていきましょう。
糸はんだ
糸はんだは、細い糸のような形に加工されたはんだです。リールに巻かれた状態で扱われることが多く、はんだごてを使った手作業のはんだ付けに広く用いられています。内部にフラックスと呼ばれる補助材が含まれているものが一般的です。
フラックスは、金属の表面をきれいにし、はんだをなじみやすくする働きをします。糸はんだは必要な分だけ少しずつ送り出して使えるため、細かな作業や部分的な補修に向いています。手作業の場面で目にする機会が多いはんだといえます。
ソルダーペースト
ソルダーペーストは、粉末状にしたはんだとフラックスを練り合わせ、ペースト状にしたものです。クリームはんだと呼ばれることもあります。やわらかく、塗布しやすい性質を持っているのが特徴です。
ソルダーペーストは、基板の表面に部品を載せる表面実装で使われます。部品を載せる位置にあらかじめペーストを塗っておき、加熱して溶かすことで一度に多くの接合を行います。塗る量や位置の精度が品質に影響するため、専用の装置によって管理されることが一般的です。
棒はんだ
棒はんだは、棒状や塊状に成形されたはんだです。溶かした状態で使われることを前提とした形で、装置の中にためて使われます。一度に大量のはんだを扱える点が特徴です。
棒はんだは、溶かしたはんだの中に基板をくぐらせる方式のはんだ付けで用いられます。穴に部品の足を差し込む挿入実装などで、多くの接合部をまとめてはんだ付けする場面に向いています。手作業よりも、装置による連続的な生産に適した形状です。
用途に応じたはんだの選び方
ここまで見てきた成分と形状の違いをふまえると、はんだ選びの考え方が整理できます。最後に、どのような視点ではんだを選べばよいのかを確認しましょう。
実装方法に合わせて選ぶ
はんだを選ぶうえで、まず手がかりになるのが実装方法です。どのようなはんだ付けを行うかによって、適した形状はおおよそ決まってきます。代表的な対応関係を整理すると、次のようになります。
- 手作業でのはんだ付けには糸はんだが向いている
- 表面実装にはソルダーペーストが用いられる
- 溶かしたはんだにくぐらせる方式には棒はんだが使われる
このように、実装方法と形状は密接に結びついています。生産する数量や自動化の度合いによっても適した形は変わるため、まずはどのような方法で実装するのかを起点に考えると、選択肢を絞り込みやすくなります。
対象部品や使用環境に合わせて選ぶ
形状とあわせて考えたいのが、成分の選択です。これは、はんだ付けの対象となる部品や、製品が使われる環境によって判断します。たとえば、熱に弱い部品を扱う場合は、溶ける温度が品質を左右する要素になります。
また、製品がどのような基準で求められているかも考慮が必要です。環境への配慮が重視される製品では、鉛フリーはんだが選ばれます。一方で、特定の条件下では従来の鉛入りはんだが使われ続ける場合もあります。部品の特性と製品の要件を照らし合わせ、形状と成分の両面から総合的に判断することが、適切なはんだ選びにつながります。
まとめ
はんだは、部品と基板を機械的にも電気的にも結びつける、基板実装に欠かせない材料です。その種類は、成分による違いと形状による違いという二つの軸で整理できます。成分では鉛入りはんだと鉛フリーはんだ、形状では糸はんだ、ソルダーペースト、棒はんだが代表的です。
はんだを選ぶ際は、まず実装方法から適した形状を見極め、次に対象部品や使用環境に応じて成分を判断するという流れが基本になります。それぞれの特徴を理解しておくことで、製品に合ったはんだを的確に選べるようになります。基板実装の品質を支える基礎知識として、はんだの種類への理解を深めていただければ幸いです。