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ワイヤーハーネスとは?用途別の種類・価格相場などを解説

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製造業の開発現場において、電気機器や電子機器の配線を効率的かつ安全に接続するために欠かせない部品が「ワイヤーハーネス」です。

しかし、「ワイヤーハーネスとは具体的にどのようなものか」「自社製品にはどの種類が適しているのか」「コストはどの程度かかるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ワイヤーハーネスの基礎知識から、用途別の種類、価格相場、選定時のポイントまでを解説します。

ワイヤーハーネスとは?

ワイヤーハーネスとは、複数の電線やケーブルを束ね、端子やコネクタを取り付けて一体化した配線部品のことです。単に電線を束ねるだけでなく、回路設計に基づいて必要な電線を選定し、適切な端子やコネクタで加工・接続することで、機器内での電力供給や信号伝送を効率的かつ確実に行う役割を担います。

ワイヤーハーネスの主な構成要素

電線(ケーブル)

銅などの導体と、PVC(ポリ塩化ビニル)やPE(ポリエチレン)などの絶縁体で構成されます。用途に応じて、耐熱性、耐油性、耐屈曲性、シールド性などが求められます。

端子

電線と機器の接続部分となる金属部品です。圧着端子、はんだ付け端子などがあり、接続方法や電流容量によって選定されます。

コネクタ

複数の端子をまとめて接続・分離するための部品です。防水性、耐振動性、抜き差し回数、ピン数など、多様な種類があります。

保護材

電線やコネクタを物理的損傷や環境要因から保護するための材料です。コルゲートチューブ、編組チューブ、ビニールテープ、結束バンドなどが用いられます。

ワイヤーハーネスのメリット

ワイヤーハーネスを使用することで、以下のようなメリットが得られます。

配線作業の効率化

複雑な配線を事前に一体化することで、組み立て時の作業時間を大幅に短縮できます。

誤配線の防止

回路設計に基づいて製造されるため、手作業による配線ミスを防ぎ、品質の安定化に貢献します。

省スペース化

複数の電線をきれいに束ねることで、機器内部の空間を有効活用し、小型化・軽量化に寄与します。

信頼性の向上

保護材によって電線が物理的ダメージから守られ、また振動や熱による断線リスクを低減し、機器全体の信頼性を高めます。

ワイヤーハーネスが使われる主な用途

ワイヤーハーネスは、その多様な機能とメリットから、非常に幅広い分野で利用されています。

自動車・輸送機器分野での活用

自動車には数多くのワイヤーハーネスが使用されており、その総延長は1台あたり数キロメートルに及ぶこともあります。エンジン制御、ボディ電装、インフォテインメントシステム、安全運転支援システム(ADAS)など、あらゆる部分で電力供給と信号伝送を担っています。

特に、エンジンルーム内では耐熱性や耐油性、車内では耐振動性や軽量化、省スペース化が求められます。鉄道車両や航空機、船舶などの輸送機器でも、安全性と信頼性が最重要視され、高機能なワイヤーハーネスが不可欠です。

産業機械・FA機器分野での活用

工場で稼働するロボット、工作機械、半導体製造装置、生産ライン設備など、産業機械やファクトリーオートメーション(FA)機器においてもワイヤーハーネスは重要な役割を担います。

これらの機器は、常に高温・多湿、粉塵、油などの過酷な環境下で使用されることが多く、また、可動部では繰り返し屈曲する特性が求められます。そのため、耐油性、耐屈曲性、耐ノイズ性、高耐久性を持つワイヤーハーネスが選定されます。

医療機器分野での活用

MRIやCTスキャン装置、超音波診断装置、手術支援ロボット、人工呼吸器、生体情報モニターなど、多種多様な医療機器にもワイヤーハーネスが組み込まれています。医療機器用ワイヤーハーネスには、患者の生命に関わることから極めて高い信頼性が求められるほか、生体適合性、滅菌対応、微細な信号の正確な伝送、電磁ノイズ対策、そして安全性が重視されます。

電気・電子機器分野での活用

家庭で使われる冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品から、パソコン、プリンター、複合機などのOA機器、さらには通信機器や計測機器まで、私たちの身の回りにある多くの電気・電子機器にワイヤーハーネスが内蔵されています。これらの用途では、コスト効率、省スペース性、安全性(PSEマークなど)、そして一定の耐久性が求められます。

その他の用途(航空宇宙、通信など)

航空機や人工衛星といった航空宇宙分野では、極限環境下での動作が求められるため、耐放射線性、耐温度変化、軽量性、高信頼性が特徴のワイヤーハーネスが使用されます。また、通信基地局やデータセンターでは、高速・大容量のデータ伝送を支える高周波対応のワイヤーハーネスや光ファイバーハーネスが活用されています。

用途別に見るワイヤーハーネスの種類

ワイヤーハーネスは、その使われる環境や機器の特性に合わせて、様々な種類が存在します。

自動車用ワイヤーハーネス

自動車用ワイヤーハーネスは、エンジンルーム内の高温・高振動・油分に耐えるもの、車内の限られたスペースに効率よく配線できるもの、そして軽量化に貢献するものなど、非常に多岐にわたります。近年では、EV(電気自動車)の普及に伴い、高電圧・大電流に対応するハーネスや、自動運転技術の進化により、高速通信に対応するハーネスの需要も高まっています。また、自動車メーカーごとに独自の規格や試験基準が設けられていることが多く、それらへの適合が必須となります。

産業機械用ワイヤーハーネス

産業機械用ワイヤーハーネスは、工場環境特有の厳しい条件に耐えるように設計されています。頻繁に動くロボットアームなどに使用される「可動用ケーブルハーネス」は、繰り返し屈曲に耐える高い耐久性が求められます。また、油や切削液がかかる環境では「耐油性」、粉塵が多い環境では「防塵性」、電磁ノイズが多い環境では「シールド性」が強化されたものが選ばれます。長距離配線が必要な場合も多く、長尺加工に対応できるサプライヤー選定も重要です。

医療機器用ワイヤーハーネス

医療機器用ワイヤーハーネスは、患者の安全に直結するため、極めて高い品質と信頼性が要求されます。生体への影響を考慮した「生体適合性」のある材料が使われたり、手術器具などに使われるものは「滅菌処理」に対応できる設計が必要です。また、微弱な生体信号を正確に伝送するための「ノイズ対策」や、細径化・軽量化による機器の操作性向上も重要な要素となります。ISO 13485などの医療機器品質マネジメントシステムへの準拠も必須です。

家電・OA機器用ワイヤーハーネス

家電製品やOA機器に使われるワイヤーハーネスは、一般的に大量生産されるため、コスト効率が重視されます。しかし、同時にPSE(電気用品安全法)などの安全規格への適合が必須であり、火災や感電のリスクを避けるための高い安全性が求められます。機器内部のスペースに合わせた小型化や、組み立て工程での作業性を考慮した設計も重要です。

特殊環境対応ワイヤーハーネス(耐熱・耐油・防水など)

特定の過酷な環境下で使用される機器には、その環境に特化したワイヤーハーネスが不可欠です。

耐熱ハーネス

エンジンルーム内や加熱炉周辺など、高温環境下で使用されます。テフロン(PTFE)やシリコンゴムなどの被覆材が用いられます。

耐油ハーネス

工場内の機械油や切削油、ガソリンなどが付着する環境で使用されます。耐油性に優れたPVCやフッ素樹脂が被覆材として使われます。

防水ハーネス

屋外機器や水のかかる場所で使用されます。防水コネクタの使用や、電線とコネクタの接続部にシーリング処理を施すことで、水の侵入を防ぎます。

耐薬品ハーネス

化学工場などで薬品に接触する可能性がある場合に使用されます。

耐放射線ハーネス

原子力発電所や医療用放射線装置などで、放射線に曝される環境で使用されます。

シールドハーネス

電磁ノイズの影響を受けやすい環境や、ノイズを発生させたくない機器で使用されます。電線の周囲に金属箔や編組線を施し、ノイズを遮断します。

ワイヤーハーネスの価格相場

ワイヤーハーネスの価格は、その構成要素、加工の複雑さ、ロット数、サプライヤーなど、様々な要因によって大きく変動するため、一概に「〇〇円」と示すことは非常に困難です。数円程度のシンプルなものから、数十万円、数百万円に及ぶ複雑なものまで幅広く存在します。

価格を決定する主な要因

ワイヤーハーネスの見積もりを依頼する際に、価格に影響を与える主な要因は以下の通りです。

電線の種類と長さ

  • 導体材料(銅、アルミなど)、被覆材(PVC、PE、テフロン、シリコンなど)の種類、芯数、線径(AWG)によって単価が異なります。
  • 電線が長くなるほど、材料費が増加します。
  • 特殊な機能(耐熱、耐油、シールド、可動用など)を持つ電線は高価になります。

端子・コネクタの種類と数

  • 使用する端子やコネクタのメーカー、型番、ピン数によって単価が大きく変動します。
  • 防水コネクタや高信頼性コネクタ、特殊な形状のコネクタは高価になる傾向があります。
  • 使用する端子・コネクタの数が増えるほど、部品代と加工工賃が増加します。

加工の複雑さ

  • 電線の切断、被覆剥き、端子圧着、はんだ付け、コネクタ挿入といった基本的な加工に加え、分岐加工の多さ、保護材(チューブ、テープ、編組スリーブなど)の有無、その種類によって工数と材料費が変わります。
  • 特殊な加工(溶接、モールド加工など)が必要な場合は、さらにコストが増します。

ロット数(生産数量)

  • 一般的に、生産数量が多いほど単価は下がります。少量生産や試作品は、初期費用(金型代、治具代など)が分散されないため、単価が高くなる傾向があります。

検査内容

  • 導通検査、耐電圧検査、絶縁抵抗検査、外観検査など、要求される検査項目や検査方法(全数検査、抜き取り検査)によってコストが変わります。特に高信頼性が求められる製品では、検査費用が高くなることがあります。

納期

  • 短納期を要求する場合、追加料金が発生することがあります。

設計費用

  • 特注品の場合、設計費用や試作費用が別途発生することがあります。

正確な価格を知るためには、必ず複数のサプライヤーから詳細な見積もりを取得し、比較検討することが重要です。

ワイヤーハーネス選定時のチェックポイント

製品の性能、信頼性、安全性、コストに大きく影響するため、ワイヤーハーネスの選定は非常に重要です。開発担当者が確認すべき主要なチェックポイントを以下に示します。

使用環境に応じた仕様の選定

温度や湿度、振動、薬品、電磁ノイズといった多種多様な使用環境を詳細に想定し、それぞれの環境下で求められる耐性やシールド性、可動部での屈曲寿命を備えた最適な仕様を厳選することが最も重要です。

電気的特性の確認事項

機器の正常動作と安全を保証するため、定格電圧・電流や導体抵抗による発熱・断線防止を確認し、絶縁抵抗や耐電圧、ノイズ対策のシールド効果、信号品質を左右するインピーダンスなどの特性を徹底して検証する必要があります。

機械的特性の確認事項

物理的な強度と耐久性を確保するため、可動部における繰り返し屈曲寿命や引張強度、耐摩耗性に加え、過酷な衝撃や振動に対する耐性、材料が変質しない適切な使用温度範囲といった機械的特性を用途に合わせて厳密に確認してください。

法規制・規格への適合性

市場流通には仕向け地ごとの安全規格(UL/CE/PSE等)や環境規制(RoHS/REACH)への適合が必須であり、自動車や医療、航空宇宙など業界固有の厳格な品質マネジメントシステムや独自規格にも確実に準拠しなければなりません。

サプライヤー選定のポイント

高品質な安定供給を実現するため、技術・提案力や品質管理体制に加え、業界実績、納期対応力、コスト競争力を総合的に判断し、トラブルや仕様変更にも柔軟かつ迅速に対応できる信頼性の高いパートナーを選定することが肝要です。

まとめ

本記事では、ワイヤーハーネスの基礎知識から、主要な用途、種類、価格相場、そして選定時に確認すべき重要なチェックポイントを解説しました。

製品の性能や信頼性、安全性、そしてコスト効率を最大化するためには、使用環境や要求仕様を正確に把握し、最適なワイヤーハーネスを選定することが極めて重要です。

もし選定に迷うことがあれば、信頼できるワイヤーハーネスメーカーや専門家への相談を検討し、自社製品に最適なソリューションを見つけてください。

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