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濡れ性が原因の実装不良|ブリッジ・赤目・未はんだの見分け方と対策

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濡れ性とは、溶けたはんだが基板や部品の金属表面にどれだけ広がり、なじむかを示す性質です。濡れ性が低下すると、はんだがうまく広がらず、さまざまな実装不良を引き起こします。特に「ブリッジ」「赤目」「未はんだ」といった不良には、濡れ性が関係している場合があります。

本記事では、濡れ性と実装不良の関係をわかりやすく解説します。あわせて、代表的な不良症状の見分け方や発生原因、現場でできる対策も紹介します。

濡れ性と実装不良の関係

はんだ付けを正しく行うには、溶けたはんだが金属表面にしっかりとなじむ必要があります。まずは、濡れ性の意味と、濡れ性の低下が実装不良につながる仕組みを見ていきましょう。

濡れ性とは

濡れ性とは、溶けたはんだが基板のパッド(銅箔部分)や部品の端子に広がり、なじむ性質のことです。例えば、水をガラスに垂らしたとき、表面の状態によって水滴の広がり方が変わります。きれいなガラスでは水が広がりやすい一方、油分が付いていると水滴が丸くなって弾かれます。はんだでも同じように、金属表面の状態によって広がり方が変わります。

濡れ性が良いと、はんだが金属表面に広がってしっかり接合します。一方、濡れ性が悪いと、はんだが表面になじまず、接合面積が十分に確保できません。電気が正常に流れなかったり、接合部分の強度が不足したりします。

実装不良につながる仕組み

濡れ性が低下する主な原因には、金属表面の酸化、加熱温度の不足、フラックスの働きの低下などがあります。

例えば、金属表面が空気中の酸素や湿気によって酸化すると、はんだが金属表面になじみにくくなります。また、リフロー工程(基板を加熱して、はんだを溶かし部品を固定する工程)で加熱温度が不足していたり、フラックス(はんだ付けを助ける薬剤)が十分に働かなかったりすると、酸化膜を取り除けず、はんだがうまく広がりません。

濡れ性が低下すると、はんだが本来の位置まで広がらず、接合不良の要因となります。代表的な症状には、次のようなものがあります。

  • ブリッジ:はんだが隣の端子まで広がり、本来つながっていない部分が接続される
  • 赤目:はんだが十分になじまず、接合部から基板の銅箔が見える
  • 未はんだ:はんだが端子やパッドに十分付かず、接合されていない状態

このように、濡れ性の低下は、はんだ付けの不良を引き起こす要因の一つです。次章では、それぞれの症状を見分けるポイントと、主な原因について詳しく解説します。

ブリッジの特徴と原因

ここでは、ブリッジの特徴や見分け方に加えて、発生しやすい部品配置について解説します。

ブリッジとは

ブリッジとは、本来つながってはいけない隣り合う部品端子や基板パッドの間が、はんだでつながる現象です。はんだが橋のように端子間をつなぐため、「はんだブリッジ」とも呼ばれます。目視検査や自動外観検査(AOI)では、ICの端子間やチップ部品の間に、はんだがつながっている状態を確認します。

ブリッジが発生すると、本来異なる回路に流れる電気が一つにつながり、基板の誤動作や部品の故障を誘発します。そのため、発見した場合は原因を確認し、適切に修正しなければなりません。

発生しやすい部品配置

ブリッジは、はんだの濡れ性だけでなく、部品の配置や形状によっても発生します。特に、次のような場所に注意しましょう。

  • ファインピッチIC:端子同士の間隔が狭いIC
  • チップ部品が密集した場所:部品同士の間隔が狭い基板
  • リードが基板の搬送方向と平行に並ぶ配置:リフロー炉内で、はんだが同じ方向に引っ張られやすい配置

端子間の距離が短い場合、溶けたはんだが隣の端子まで広がりやすくなります。部品を密集させすぎず、パッドや端子の間隔を適切に確保することが、ブリッジの予防に効果的です。

赤目の特徴と原因

ここでは、赤目の特徴や見分け方に加えて、フラックスや加熱条件との関係を解説します。

赤目現象とは

赤目現象とは、基板の銅箔パッドにはんだが十分に広がらず、下地の銅が赤銅色に見える状態です。はんだがパッド全体を覆わないため、接合部分の一部から銅箔が見えます。

外観検査では、パッドの中央や端に赤みが残っているかを確認します。はんだが十分に接合されていないため、電気的な接続が不安定になったり、接合強度が不足したりする原因になります。赤目を確認した場合は、はんだの濡れ性だけでなく、基板の状態や加熱条件なども確認しましょう。

フラックスや温度条件との関係

赤目の発生には、フラックスの働きや、リフロー炉の温度条件が関係します。フラックスには、金属表面の酸化膜を取り除き、はんだをなじみやすくする役割があります。しかし、基板のパッドが強く酸化していると、フラックスだけでは酸化膜を十分に除去できず、赤目の発生を招きます。

また、以下のように加熱条件が適切でない場合も注意しなければなりません。

  • 加熱温度が高すぎる:フラックスが劣化し、十分に働かなくなる
  • 加熱が不足する:はんだが十分に溶けず、パッドになじみにくくなる
  • 加熱時間が適切でない:フラックスの働きと、はんだが溶けるタイミングが合わなくなる

基板やはんだの状態に合わせてフラックスを選び、適切な温度プロファイル(加熱する温度と時間の設定)を管理することが大切です。

未はんだの特徴と原因

ここでは、未はんだの基本的な状態と、外観検査で見つけにくいケースについて解説します。

未はんだとは

未はんだとは、部品の端子と基板のパッドの間にはんだが十分に付いておらず、電気が正常に流れない状態です。主な原因には、加熱不足や濡れ性の低下があります。はんだが部品側または基板側になじまないと、端子とパッドが十分に接合されません。

未はんだが発生すると、回路が途切れて電気が流れなくなり、機器が正常に動作しない原因になります。また、接合が不十分なため、次のような症状が見られる場合もあります。

  • 部品がしっかり固定されず、動いてしまう
  • 接合面積が小さく、接合強度が不足する
  • 振動や温度変化によって接触が不安定になる

検査で見落としやすいポイント

未はんだは、外観だけでは判断しにくいケースがあります。部品端子の周囲にはんだが見えていても、実際には端子とパッドが十分に接合されていない場合があるためです。特に、BGA(ボールグリッドアレイ)のように、部品の裏側に端子が並んでいる構造では、上から見ただけでは接合状態を確認できません。

そのため、部品の構造に応じて検査方法を使い分けます。

  • 目視検査・AOI(自動外観検査):外側から確認できる端子やはんだの状態をチェックする
  • X線検査:部品の裏側など、目視できない接合部を確認する
  • ICT(電気的導通検査):回路に正しく電気が流れるかを確認する

このように、外観だけでは判断しにくい未はんだには、X線検査や電気的な検査を組み合わせる方法が有効です。

濡れ性による実装不良を防ぐ対策

ここでは、濡れ性の低下による実装不良を防ぐために、現場で取り組みやすい3つの対策を紹介します。

部品の保管環境と期限の管理

濡れ性を保つには、基板や電子部品を適切な環境で保管することが基本です。金属表面は空気中の酸素や水分に触れると酸化するため、温度や湿度を適切に管理します。特に、湿気に弱い部品にはMSL(湿度に対する耐性を示す区分)が設定されています。防湿袋を開封した後は、使用までの時間を記録して管理しましょう。

また、保管期限を過ぎた部材や酸化が進んだ基板は、そのまま使用せず状態を確認します。必要に応じて、ベーキング処理(加熱して水分を取り除く処理)を行うことも対策の一つです。

フラックス選定と塗布量の適正化

はんだを金属表面になじませるには、基板や部品の状態に合ったフラックスを選ぶことがポイントです。フラックスには、金属表面の酸化膜を取り除き、はんだを濡れやすくする働きがあります。

また、はんだペーストの塗布量も適切に管理します。

  • 塗布量が多すぎる:隣の端子とつながり、ブリッジの原因になる
  • 塗布量が少なすぎる:未はんだや接合強度の不足につながる

そのため、メタルマスクの開口寸法や厚みを基板に合わせて調整します。印刷後は、SPI(はんだ印刷検査装置)で塗布量や位置を確認し、安定した状態を保ちましょう。

加熱温度と炉内酸素濃度の調整

リフロー炉の温度管理も、濡れ性を保つうえで重要です。急激に温度を上げるのではなく、フラックスが適切に働く温度帯を考慮して、加熱する温度と時間を設定します。温度プロファイル(加熱する温度と時間の設定)は定期的に確認し、必要に応じて調整しましょう。

さらに、リフロー炉に窒素ガス(N2)を入れて、炉内の酸素濃度を低く保つ方法もあります。加熱中の金属表面が酸化するのを抑え、はんだがなじみやすい環境を整えられます。

まとめ

濡れ性が低下すると、ブリッジや赤目、未はんだなどの実装不良に直結します。濡れ性とは、溶けたはんだが金属表面に広がり、なじむ性質です。適切なはんだ付けには、この性質を保つための工程管理が求められます。

対策としては、まず部品や基板を適切な環境で保管し、湿気や酸化を防ぐことが基本です。そのうえで、フラックスやはんだペーストの状態を管理し、リフロー時の温度や酸素濃度も適切に調整します。濡れ性に影響する要因を工程ごとに確認し、自社の製造環境に合った管理方法を整えることで、安定した基板実装を実現できます。

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