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基板実装を依頼するときに必要なデータとは? スムーズな発注のポイント

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電子機器の開発や製造では、基板実装を外部の専門業者へ委託するケースがあります。スムーズに発注して製造工程へ進むには、事前に必要な製造用データをそろえておくことが大切です。不備や不足があると、業者との確認に時間がかかり、納期の遅れや実装ミスにつながります。どのようなデータを用意するのか、各データにどのような情報を含めるのかを把握しておきましょう。

本記事では、基板実装の発注時に必要となる基本データや補足資料、データ不備によるトラブル例、スムーズに発注するための準備ポイントなどを解説します。

基板実装で必須となる基本データ

基板実装を依頼する際は、基板のパターンや搭載部品、部品の配置位置などを示すデータを準備します。まずは、発注時に用意する3つの基本データを確認しましょう。

製造用ガーバーデータ

ガーバーデータは、基板のパターンや穴位置、シルク印刷などの情報を記録したデータ形式です。基板の製造工程だけでなく、実装工程では、はんだペーストを塗布するためのメタルマスクを製作する際にも使用されます。特に、メタルマスク用のガーバーデータは、実装発注時に確認しておきたいデータです。不足しているとメタルマスクの製作が滞り、実装工程の準備に遅れが生じます。

CADからデータを出力するときは、必要なレイヤーが含まれているかを確認しましょう。実装業者によってデータ形式やレイヤー構成が異なる場合もあるため、あらかじめ提出仕様を確認しておくとスムーズです。

部品表 BOM

部品表(BOM)は、基板に実装する電子部品の情報を一覧にまとめた資料です。実装メーカーはBOMをもとに部品を調達したり、支給された部品と設計内容を照合したりします。

BOMには、リファレンス番号(C1、R1など)、部品名、メーカー名、型番、使用数量などを記載します。部品の仕様を特定できる情報を正確に記載することが重要です。特に型番は、一文字違うだけでも別の部品になる可能性があります。発注前に設計データや購入部品と照合し、記載内容に誤りがないか確認してください。

実装座標データ

実装座標データは、各部品を基板上のどの位置に、どの向きで配置するかを示すデータです。「マウントデータ」や「XYデータ」と呼ばれる場合もあります。自動実装機では、このデータをもとに部品の配置位置や角度を設定します。

データには、部品のリファレンス番号、基板上のX・Y座標、回転角度、実装面(表面・裏面)などの情報が含まれます。これらが正しく設定されていないと、部品の位置や向きを誤って実装する原因になります。座標データがない場合は、実装メーカー側で位置情報を確認して入力する作業が必要になり、追加の工数や費用が発生する場合があります。

スムーズな作業を支える補足資料

基本データに加えて、図面や作業指示などの補足資料も提出しておくと、実装メーカーが作業内容を確認しやすくなります。ここでは、実装時の確認に役立つ3つの補足資料を紹介します。

実装図とシルク図

実装図は、基板上のどこにどの部品を配置するのかを視覚的に示す図面です。シルク図は、基板上に印刷される部品番号や極性マークなどの位置を確認するために使用します。どちらも、実装後の目視検査や手作業で部品を取り付ける工程で参照されます。

特に、ダイオードや電解コンデンサ、ICなど、向きや極性が決まっている部品については、図面上でマークが明確に表記されていることが基本です。座標データだけでなく、視覚的な図面を併せて提供することで、部品の向き間違いや誤配置を防げるでしょう。

特殊工程の指示書

標準的なリフロー実装とは異なる作業がある場合は、あらかじめ作業指示書を作成して共有します。たとえば、熱に弱い部品の手はんだ付け、特定部品へのコーティング、指定箇所への接着剤による固定などが挙げられます。

特殊な要求事項がデータや図面に記載されていないと、通常の自動実装工程だけで処理されてしまい、部品の破損を引き起こす危険性があります。作業上の注意点がある場合は、明確に記載した指示書を添付する工夫が求められるでしょう。

支給部品一覧

基板実装に使用する電子部品を発注者側で用意する場合は、支給部品一覧を作成して提出します。実装メーカーは一覧表をもとに、納品された部品の型番や数量を確認し、BOMや発注内容と照合します。

一覧表には、部品の型番や数量だけでなく、部品のリファレンス番号や納入形態も記載しておくと管理しやすくなります。リール、トレイ、チューブなど部品によって納入形態が異なるため、あらかじめ情報を共有しておきましょう。

また、実装時のロスや交換に備えて予備部品を用意する場合は、その数量も一覧表に記載します。実際に納品する数量と一覧表の記載をそろえておくことで、受け入れ時の確認作業を進めやすくなります。

データ不備が引き起こすトラブル

ここでは、データ不備によって起こりやすい3つのトラブルを見ていきましょう。

納期遅延につながるケース

提出したデータに記載ミスや情報の不足があると、実装メーカーから内容について確認を受ける場合があります。仕様が確定するまで次の工程へ進められない場合は、製造スケジュールにも影響します。

たとえば、海外製部品の型番が誤っていたり、実装座標データと図面で部品の配置位置が異なっていたりすると、正しい仕様を確認するためのやり取りが必要になります。確認に時間がかかれば、その分だけ製造開始が遅れ、予定していた納期を変更することにもなりかねません。

見積もり金額への影響

見積もり時に提出したBOMや製造データと、実際の仕様が異なると、後から見積もり金額が変わる場合があります。実装機に対応していない部品が含まれていたり、手作業での追加工程が必要になったりすると、当初の見積もりには含まれていなかった費用が発生します。

また、ガーバーデータの不備によってメタルマスクの作り直しが必要になれば、再製作費用が発生するケースもあります。見積もり段階で正確な情報を共有しておけば、発注後の追加費用を抑えやすくなります。部品の仕様や実装方法に特殊な条件がある場合は、BOMや指示書などに明記して、見積もり時点で実装メーカーへ伝えておきましょう。

実装ミスや手戻りのリスク

データの誤りに気付かないまま実装を進めると、部品の向きや配置を間違えた状態で基板が完成してしまうケースがあります。たとえば、ICの向きが逆になっていると、製品によっては通電時に部品や基板を損傷させるおそれがあります。

実装ミスが判明した場合は、部品の取り外しや再実装などの手戻りが発生します。修正に時間や追加費用がかかるだけでなく、部品を取り外す際に基板や部品へ負荷がかかり、再利用できなくなるケースも出てきます。

修正だけでは対応できない場合は、基板そのものの再製作を余儀なくされます。こうした手戻りを防ぐためにも、実装前に各データの内容を照合し、部品の向きや配置に誤りがないか確認しておきましょう。

スムーズな発注に向けた準備のポイント

ここでは、基板実装をスムーズに依頼するために確認しておきたい4つのポイントを紹介します。

最新版データの指定と管理

設計変更を繰り返しているプロジェクトでは、古いデータを誤って提出しないよう管理方法を決めておきましょう。旧版のガーバーデータやBOMをもとに実装すると、最新の設計変更が反映されず、意図した仕様と異なる基板が完成してしまいます。

データを提出するときは、ファイル名やフォルダ名にバージョンや更新日を記載し、最新版を明確にします。過去のデータは別のフォルダへ移すなど、現在使用するデータと混在させない運用も有効です。発注時に使用するデータの保存場所を社内で統一しておけば、担当者が変わっても最新版を確認しやすくなります。

フォーマットや単位の事前統一

実装座標データやガーバーデータを出力するときは、実装メーカーが指定するファイル形式や寸法単位を確認します。座標データの単位がミリメートルとインチで異なると、読み込み後の位置が大きくずれる原因になります。

また、実装座標データはCSVやTXTなど複数の形式で出力できますが、すべてのメーカーが同じ形式に対応しているとは限りません。提出前に、受け入れ可能なファイル形式や必要な項目を確認しておきましょう。

メーカー指定の形式でデータを用意すれば、変換作業や読み込み時のエラーを減らせます。はじめて依頼する業者には、事前にデータ提出仕様を確認しておくと安心です。

データと部品表の記載内容の一致

ガーバーデータ、部品表(BOM)、実装座標データは、それぞれ別の役割を持っています。一方で、リファレンス番号や搭載部品など、共通して確認する情報もあります。たとえば、CAD上で部品を削除したにもかかわらず、BOMや実装座標データを更新していないと、データ間に食い違いが生じます。そのまま提出すると、実装メーカー側で追加の確認が発生する原因になります。

データを出力した後は、リファレンス番号や部品数などを照合し、記載内容が一致しているかチェックしましょう。部品の追加や削除、変更があった場合は、関連するすべてのデータを更新してから提出します。

最終チェックの徹底

すべてのデータと資料をそろえたら、入稿前に最終チェックを行います。設計担当者だけで確認を終わらせず、別の担当者にも確認してもらうと、見落としの防止に役立ちます。チェック項目をリスト化し、ガーバーデータのレイヤー漏れ、部品型番の誤記、極性表示の有無、座標データの単位などを一つずつ確認しましょう。

チェックが終わったら、実際に提出するファイルと社内で保管している最新版を照合します。確認済みのデータだけをまとめて入稿する運用にしておけば、旧版データの誤提出も防ぎやすくなります。

まとめ

基板実装を外部へ依頼するときは、必要なデータをそろえるだけでなく、それぞれの内容が正しいかを確認してから提出することが大切です。誤りや食い違いがあると、発注後の確認作業やデータ修正が発生し、納期や費用にも影響します。

まずは、最新版のデータを明確にして管理し、実装メーカーが指定するファイル形式や単位を確認しましょう。そのうえで、ガーバーデータ、BOM、実装座標データの内容を照合し、最後に第三者を含めたチェックを行います。

こうした準備を発注前の手順として定着させておけば、データの取り違えや記載ミスを減らし、実装メーカーとの確認もスムーズに進められます。必要な情報を正確に整理したうえで入稿し、設計どおりの基板実装を進められる状態を整えておきましょう。

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